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【翻訳の裏側】意外と知らない?プロが字幕翻訳で避けている3つのポイント

【翻訳の裏側】意外と知らない?プロが字幕翻訳で避けている3つのポイント

字幕翻訳の3つのポイント

字幕翻訳は、文章の翻訳よりも制約が多い作業です。字幕は数秒で切り替わっていくものですが、そこには数秒ではとても語りきれない要素が詰まっています。
今回は、映像翻訳者が「分りやすい字幕」に向けて避けている基本的なポイントを、3つに分けてご紹介します。

① 1つの文を3枚以上の字幕に分ける

1回に画面表示される字幕を「1枚」と呼びます。できるだけ原文のニュアンスをそのままに訳すことはもちろん大事ですが、冗長な字幕にならないよう配慮する必要があります。

【原文の例】
The dietary fiber contained in vegetables improves the intestinal environment, so let‘s eat vegetables such as salad and soup according to your lifestyle.

【これを直訳して字幕に反映すると…】
1:野菜に含まれる食物繊維は
  腸内の環境を整えるため
2:サラダやスープなど
  あなたの生活スタイルに合わせて
3:野菜を食べるようにしましょう

まとめて見ると、これくらいの長さの文章だと難なく理解できるように思われるかも知れません。しかし、実際に映像とあわせて字幕が数秒ごとに変わると、3枚以上の字幕は集中していないとかなり読みづらいのです。

字幕では、スッと頭に入ってくる文章を心がけます。たとえ原文が長く続いていたとしても、日本語にする際は文章を分けたほうが分かりやすいと言えます。逆に、原文が2文以上に分かれてもひとつの文にまとめて訳したほうが分かりやすい例もあります。
また、英語は主語がハッキリしている言語ですから、原文で“Our”や“Your”が用いられているケースが多く見られます。しかし一般論について述べている場合などは特に「私たちの」「あなたの」と訳出しなくても意味は伝わります。

② 助詞止め、体言止めの多用

字幕翻訳では、場合によっては「、」「。」を用いる動画もありますが、基本的には読点や句点がなくても理解できる翻訳を心がけます。その際に気をつけたいのは、助詞止めや体言止めを多用しないことです。

【助詞止めを用いた字幕例】
あなたに 最高の仕事場を

この字幕では、あなたに最高の仕事場を「与えてあげる」なのか、「作ってほしい」なのか、判断がつきません。字幕翻訳は読んで即座に理解できることが大切ですから、一瞬でも視聴者が「ん?」と思わないような字幕づくりを心がけます。
例えば「ここでこの映像が終わる」ということが明確に分かる部分で「私は戦う 未来のために」といった表現で余韻を持たせる場合もありますが、助詞止めはあくまで限定的に使うものと心がけます。

【体言止めを用いた字幕例】
それは最高の仕事場
私たちが求めていたもの

なんだか、歌詞やポエムの一部のような感じがしませんか?そのような印象を与えたい場合は別ですが、この部分が普通の会話や説明の一部である場合は「私たちが求めていたのは(改行)最高の仕事場です」のように、文をまとめたほうが自然な流れを作ることができます。

③ 視覚的に読みにくい字幕、誤解を与える字幕

字幕は一読で理解できることが大切です。音声で聞くと違和感がなくても、視覚的に不自然さが目立つ字幕は避けるようにします。

【読みにくい字幕例】
1:もうかんかんになっている → もう カンカンになっている
2:英会話教室設立候補地 → 英会話スクールの候補地
3:先日発行されたレポート → 先日 発行されたレポート

字幕翻訳では多くの人が文字数制限に苦しみます。しかし、文字数を節約しようとするあまり熟語を多用してしまったり、本来は読点や句点(基本的には、字幕では読点は半角スペース、句点は全角スペースで表します)を置くべき所を省略するのは望ましくありません。ひらがな、カタカナ、漢字のバランスを考えることや、必ず訳出すべきフレーズと省略しても意味が伝わるフレーズについてきちんと考える必要があります。

【複数の解釈を与える字幕例】
簡単じゃない

この場合「簡単ではない」という意味合いにも「簡単だよ」という意味合いにも当てはめることができます。音声では発音で区別することができますが、例えば原文が“It’s not easy.”だった場合は「簡単(=easy)」というフレーズを用いるよりも「難しい」「手ごわい」など、別の日本語を用いたほうが良さそうです。

まとめ

いかがでしたか?今回ご紹介したのはほんの一部ですが、すべて当たり前のように見えて、実際にやってみるとかなり難しかったり見落としてしまいがちなポイントなのです。質の良い翻訳には、必ず翻訳者の工夫が隠れています。今後なにかの作品や映像を字幕で見る際、そんな工夫をちょっと探しながら見てみると面白いかもしれません。

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